入道雲
川遊びの背に
響き渡る蝉の声
記憶の中の暑さは
心地良く懐かしい
高岡 克英
【第一席】
手拭いにヘルメット
赤胴の汗に
ひらり身を交わす
若いとび職に
惚れてしまいそう
利智子
【第二席】
まぶしさに
目を閉じかけた
向こう側
繰り返す時代の流れの
夏帽子
藍果
【第二席】
冬の暖のために
炎天下 皆
薪割をした
夏の涼のために
冬 雪を用意しよう
菅原弘助
【第三席】
堂々と
太陽を見上げる
向日葵のように
生きたい
誰だってそうでしょ?
佐藤慧理子
【第三席】
ヤマメが泳ぎ
鮎が跳ねる
ゆたかな川面
ホタル飛び交う
幸せの住む里
渡辺幸夫
【第三席】
雑草との戦い
むしらなければ
野菜も侵され
むしればむしるほど
領土が広がってゆく
藤原孝男
年の初めに
決心したことが
半年経ても不実行
優柔不断の
己を嫌悪
小田嶋忠雄
「バァバとお別れか…」
と自分に言い聞かすように
孫が
玄関から出ていった
心に響いだな
大坂眞澄
昔は繰り返す
と言わんばかりに
ウィンドーに
なつかしい
アッパッパッ
高橋典
希望を謳う風
青き愛の天
朝の空気は
光と共に
花から生まれる
安倍彩矢
どれほどの我が
住んでいるのだろう
この胸の内に
今朝の素直さは
雨上がりの紫陽花の精かも
笹山梅子